海外の競馬記事を訳していくブログ

誤訳などあればコメントにて。括弧書きの文章は力不足で訳せなかったものです。。。

アスコットに登場する注目すべき5頭の刺客たち

引用元:

www.racingpost.com


ロイヤルアスコット開催に出走する外国馬は、この開催を盛り上げるための重要な要素だ。今年は世界各地からスターホースがやってくる。ここではその中から、何頭かのビッグネームを取り上げよう。

テピン(Tepin/USA)

クイーンアンS

昨年からは11戦9勝2着2回と、ほぼ完璧な戦績を残している。コントロール可能なスピードとスパートの早さにより、ブリーダーズカップマイルを含むアメリカのマイル戦で圧倒的な強さを誇っている。ロイヤルアスコット開催の最初のレース、その頂に上り詰める資質は十分だ。

マーク・キャス調教師 「北アメリカの芝レースの中で、史上最強級の牝馬だと思います。その強さをアスコットの地でも見せたいです」

アカプルコ(Acapulco/USA)

キングスタンドS or コモンウェルスカップ

昨年イギリスで走った2走で怪物的な強さを見せた牝馬。このロイヤルアスコット開催に向けて出走した今年の2戦では両方とも勝利し、今まさにアスコットを制圧しようとしている。

ライアン・ムーア騎手 「彼女は特別です。ウェスレー調教師は、彼女は3歳馬にも関わらず、姿も走りも4歳馬のようだと言っていました。彼女は優れた資質と凄まじいスピードを持っています」

エイシンヒカリ(A Shin Hikari/Japan)

プリンスオブウェールズS

10馬身差でライバルたちを粉砕したイスパーン賞では世界中が驚愕した。そして、おそらく彼こそが、今年の開催で最も注目を集める海外馬だろう。日本にとって凱旋門賞は未だに聖杯(註: 追い求めるべきものの例え)であるが、初のロイヤルアスコットでの勝利もまた、日本という競馬狂の国を熱狂の渦に巻き込むだろう。さらに言えば、世界的騎手の武豊が乗るのだ。

武豊騎手 「自分のレースをして、エイシンヒカリにはやりたいようにやらせるだけです」

ゴールドファン(Gold-Fun/Hong Kong)

ダイヤモンドジュビリーS

アイルランド馬である香港馬で、現在はフランスの厩舎でイギリス人調教師に預けられているという、ゴールドファンは出自からして超国際的だ。香港ではGIに手が届かなかったが、もともと香港はスプリント路線で世界最高レベルであり、彼の能力自体には疑いようはない。スピードももちろん、1200mを越える距離でも大丈夫なスタミナも兼ね備え、アスコット競馬場にはピッタリだ。

リチャード・ギブソン調教師 「7歳になっても、まだまだ衰えはありません」

モンゴリアンサタデー(Mongolian Saturday/USA)

キングスタンドS or ダイヤモンドジュビリーS

ブリーダーズカップターフスプリントを勝利したことにより、モンゴル出身調教師初のブリーダーズカップ勝利をもたらした馬だ。エネビシ・ガンバット調教師は、普段は母国で20マイル戦のためのポニーを調教しているが、サラブレッド調教師としても一流であることを証明した。その馬が、来週アスコットに出走する予定だ。

エネビシ・ガンバット調教師 「スタッフには、彼のことをモンゴリアンサタデーではなく"チャンピオン"と呼べと言っています。私のノートにもチャンピオンとばかり書いていますよ」


ロイヤルアスコット開催の注目馬のうち、海外馬に関する記事です。

エイシンヒカリが注目されていることは今更言うまでもないですが、それ以外にもなかなか個性的な馬が揃っている印象です。特にモンゴリアンサタデーのエピソードは強烈ですね。

ロイヤルアスコット開催の初日は6/14(火)、クイーンアンSから始まります。このレースには日本からエイシンエルヴィンも参戦予定です。テピンの強さを見せつけられるレースになりそうですが。。。 初日から要注目です。

トップマイラー・モーリス、安田記念でまさかの敗戦

引用元:

www.racingpost.com


世界的なトップマイラーの一頭・モーリスが、安田記念(GI)で前を走るロゴタイプを捉えることができず、まさかの敗北を喫した。

GI・5勝目と8連勝を上げることが有力視されていたモーリスは、スタートから激しく掛かっていた。トミー・ベリー騎手が懸命に手綱を引っ張ったものの、勝ち馬の手前の二番手まで上がってしまった。

ロゴタイプが馬場の悪い内側を進む中、モーリスは直線に入りスパートをかけた。しかし、それを捉えることができずさらに差が広がり、結局ロゴタイプが1 1/4馬身差の勝利を収めた。

ライアン・ムーアから乗り替わったベリー騎手は、ペースの遅さを敗因に挙げた。「思ったよりもペースが遅く、折り合いに苦労してしまった。それでも2着に入ったのはよくやってくれたと思う」

モーリスと小差での3着にはフィエロが入った。一方で、ドバイターフ勝者のリアルスティールはレースに参加することができず、ただ一頭に勝っただけの11着だった。

「GI馬としてのロゴタイプをどうしたら復活させられるかをずっと考えてきました。今日までロゴタイプが頑張ってきたことが結果につながったと思います。本当に嬉しいです」ロゴタイプの田中調教師は言った。

田辺裕信騎手とずっと戦略を練ってきました。チャンスがあれば逃げを打とうという意見で一致しました。展開はロゴタイプにとって追い風になり、ゴール寸前では興奮のあまり立ち上がってしまいました。」


今年の安田記念は、モーリスがまさかの敗戦・8番人気のロゴタイプが3年ぶりの勝利という波乱の結末となりました。

モーリスは、まぁ負けるとしたらここだったなぁという気がします(後付けですが)。臨戦過程も悪いですし、現在の日本のマイル路線はかなり層が厚いと思いますから。今回の敗戦で評価を落とすものではないと思います。

一方のロゴタイプは、田辺騎手の好騎乗もあるものの、勝ち運に見放されていただけで近年を実力を示し続けていたわけですから、展開が向けばこれは妥当な結果だと思います。個人的な感想では、競馬を見始めた2014年時点でロゴタイプは善戦マンなイメージがあったので、ここに来てまさか勝つシーンを観れるとは思いませんでした。

リアルスティールは...... 絶対にマイラーじゃないと思うんだけどなぁ。菊花賞で示した通り、長距離向きだと思います。この一戦で騎手や馬を責めるのは少し酷かなと。。。

ポストポンド、コロネーションカップを手中に収める

引用元:

www.racingpost.com


中距離界のトップホースの一頭であるポストポンドが、ダービーデイに行われたコロネーションカップで鮮烈な勝利を決めた。

女傑・ファウンドとローズバーグを打ち倒し、これでGIは3勝目、連勝記録はさらに伸びることになった。

昨年のキングジョージ&クイーンエリザベス2世Sの勝ち馬であるポストポンドは、前走である3月に行われたドバイシーマクラシックで勝利を収め、このコロネーションカップは1.5倍の人気だった。

ブリーダーズCゴールデンホーンを破ったファウンドだったが、勝ち馬からは4 1/2馬身離された。

「彼は本当にいいサラブレッドです。どんな競馬場でも力を発揮してくれます。彼に乗ることができて本当に良かった」とアッゼニ騎手は言った。

アッゼニはオーナーに頼んでポストポンドに乗り続けるチャンスを得た。「転厩してから本当に強くなりました。他の人が何を言ってるのか知りませんが、これはロジャー調教師とスタッフのおかげです。来年のシーマクラシックもこの馬で行きたいです」

ヴァリアン調教師はこう付け加えた。「ポストポンドは多才な馬です。バランスも良く、アスリートとして完璧です。胸を張ってキングジョージに向かえます」

一方、二着に敗れたファウンドはプリンスオブウェールズSに出走予定がある。アイダン・オブライエン調教師は出走可否を判断中だという。

「彼女にはとても満足しています。走るのがとても好きなようです。ライアンによると、ペースがスローすぎたみたいです。

彼女にはスローよりも平均ペースのほうが合っています。速い馬場も問題ありません」

昨年のセントレジャーS勝ち馬のシンプルヴァース(Simple Verse)は4着だった。彼女もアスコットへの出走予定があるが、キングジョージも選択肢の中にある。

ラルフ・ベケット調教師はこう言った。「最後の7ハロンだけのレースでした。前半はまったく速くなく、仕掛けを早くせざるをえませんでした。

そのことを考慮に入れれば、悪くない走りだったかもしれません。彼女の状態を見極めてから、次走を決めたいと思います。ただ、このレースはハードではありませんでした。次にどこに行こうとも問題ないでしょう」


非常に強い競馬でポストポンドがGI3勝目をあげました。

スローからの直線勝負では右に出る者はいないかもしれません。凱旋門賞もこのような展開になることが多いと思うので、ポストポンドは最有力候補になるのではないでしょうか。

次走は連覇をかけてキングジョージということになりそうです。連覇となればスウェイン以来18年ぶりとなります。

敗れたファウンド・シンプルヴァースも、中1週未満でのアスコット参戦の可能性が報じられていますが、なかなか日本のGI馬のローテーションとしては考えられない感じです。ヨーロッパの馬は日本に比べてタフなのでしょうか。。。

ハーザンド、出走回避寸前から栄光のダービー馬に

引用元:

www.racingpost.com


レースの数時間前、ハーザンドは出走取り消しが疑われる状況だった。しかし、それを乗り越え、見事栄光を掴み取った。

デルモット・ウェルド調教師とパット・スマレン騎手にとっては、これが初めてのダービー制覇だ。ユーエスアーミーレンジャーは2着、3着はアイダホだった。

上位三頭はアイルランド調教馬で、地元のウィングスオブデザイアはベストを尽くしたものの、前三頭とは離されてしまった。

スマレンはゴールした瞬間、空中にパンチを繰り出すポーズを見せた。スマレンは当初、ハーザンドに騎乗する予定ではなかった。騎乗予定だったミッドタームが、怪我のため回避してしまったのだ。

「信じられない。ダービー馬に騎乗することが出来たなんて夢のようです。ウェルド調教師のために勝ててよかった。彼は世界一の調教師です。

今朝のトラブルによって、ハーザンドに騎乗することはできなくなったと思いました。陣営の努力のおかげです。ライアン・ムーアとユーエスアーミーレンジャーがすぐそこまで来ていることは分かりましたが、ハーザンドが頑張ってくれると信じていました。

ミッドタームに乗っていた時には、この馬でダービーに行くものだと思っていたのですが・・・ しかし、雨が降った時にハーザンドが能力を発揮してくれて、私たちはチャンスをつかむことができました」

ウェルド調教師はこう付け加えた。「素晴らしいです。今朝落鉄した時には走れるかどうか疑わしかったですし、レースの直前までも心配でした。できる限りのことをやった甲斐がありました。

ハーザンドは素晴らしい馬ですし、レースでは何もかも上手くいきました。レースの前までは流れが悪かったのですが。お湯と湿布を用意して、4時間かけてハーザンドの足を温めていました」

ハーザンドはまだ4戦しかしていない。ユーエスアーミーレンジャーとの戦いから見ると、まだまだ成長途上なのだろう。

ハーザンドが先頭に立った後、ムーアが勝負を仕掛けてきたが、エプソム競馬場の勾配により寄れてしまった。

しかし、ユーエスアーミーレンジャーが真っ直ぐ走れたとしても、半馬身ほどに差を詰められただけだろう。

アイダン・オブライエン調教師によると、ユーエスアーミーレンジャーにはまだ経験が足りないのだという。「前走までは素晴らしいパフォーマンスを見せてくれましたが、ここに入ると少し子供っぽかったですね。ライアンも同じことを思っていたのですが、しかし言い訳はしません。次走に向けてまた頑張っていきたいと思います。

アイダホも頑張ってくれました。これからもやってくれるでしょう」

ダービーの一時間前、コロネーションカップポストポンドが鮮烈な勝利を決めたが、BetVictor社はハーザンドの凱旋門賞のオッズを、ポストポンドと同じ6倍とした。一方で、 Coral and Paddy Power社はハーザンドのオッズを10倍としている。


ユーエスアーミーレンジャーが一旦は勝つか!? と思わせる脚を見せたものの、前にいたハーザンドが粘り通しました。

この記事には書かれていないものの、別の記事によるとどうやらハーザンドは輸送中に落鉄し、そのせいで脚が氷漬けになってしまったみたいです。そのようなトラブルがありながらダービーを勝つあたり、強運の持ち主という感じがします。やはり、海外のダービーも運のいい馬が勝つレースなのでしょうか。

2着に敗れたユーエスアーミーレンジャーも、レースでは見せ場十分でした。順調に成長して経験を積んでいけば、中距離路線の第一線で戦っていけるのではないでしょうか。

ちなみに、6/5時点でのBetVictor社での凱旋門賞のオッズですが、牝馬2冠を達成したマインディングが7倍、日本のエイシンヒカリが8倍、牝馬ファウンドとドゥラメンテが12倍となっています。

まだ間に合うエプソムダービー出走各馬紹介

引用元:

Derby 2016: Epsom runner-by-runner guide | Racing UK


16頭の出走馬が、第237回エプソムダービーの出走を待ち構えている。

ダンテ賞勝者のウィングスオブデザイアが4.5倍の一番人気、そしてオブライエン厩舎のユーエスアーミーレンジャーが5倍で二番人気に続く。

もしこの最も偉大な平地競走でどの馬に賭けるか決めていないのならば、ここで出走馬紹介をしておこう。

アクロスザスターズ(Across The Starts)

調教師: マイケル・スタウト 騎手: キーレン・ファロン 倍率: 25倍

未勝利戦で他の3頭相手に楽勝した後、準重賞のダービートライアルで見どころのある3着だった。成長は見せているが、前走では勝ち馬から1 1/2馬身離されてしまった。勝ちきるのにはさらなる上積みが必要だ。

アルゴメーター(Algometer)

調教師: デビッド・シムクック 騎手: ジム・クローリー 倍率: 33倍

芦毛のダービー馬の誕生は1946年のエアボーン(Airborne)まで遡る。クックドハットS(準重賞)を出遅れながら勝利したが、その前のレースではミッドタームに完敗を喫している。明らかにスタミナが彼の長所で、どちらかというとセントレジャーSの方が向いていそうだ。水曜日に死亡したシムクック厩舎のコルシカン(Corsican)に捧げる勝利となるか。

バイオダイナミック(Biodynamic)

調教師: カール・バーク 騎手: ドギー・カステロ 倍率: 200倍

5月の未勝利戦で勝ち上がってきたが、その前のレースでユーエスアーミーレンジャーとポートダグラスに約9馬身差の完敗を喫している。流石に厳しいか。

クロースオブスターズ(Cloth Of Stars)

調教師: アンドレ・ファーブル 騎手: ミカエル・バルザローナ 倍率: 7倍

2歳時にGIレースでロビンオブナヴァン(Robin of Navan)の2着となり、その後サンクルー競馬場で行われたGIIレースで勝利を収め、成長を見せた。2400mへの距離延長はもはや問題にはならないだろう。彼の父・シーザスターズのダービー勝利の再現を狙う。

ドーヴィル(Deauville)

調教師: アイダン・オブライエン 騎手: ジェミー・スペンサー 倍率: 10倍

2歳時にロイヤルロッジS(GII)で2着となったが、ダンテ賞でウイングスオブデザイアにわずかに及ばなかった。ワークフォースは前走2着からダービーを制したし、2ハロンの距離延長も問題ではないはず。

ハーザンド(Harzand)

調教師: デルモット・ウェルド 騎手: パット・スマレン 倍率: 14倍

重馬場の未勝利戦を16馬身差で勝利し、その後のGIII戦も重馬場だったがこれも勝利。道悪適性を示した。これまでの戦いで優れたスピードは見せていないが、雨が降れば一気に浮上なるか。

ハンフリーボガート(Humphrey Bogart)

調教師: リチャード・ハノン 騎手: シーン・リービー 倍率: 25倍

昨年のロイヤルロッジSで4着だったが、今年はそこからの成長を見せ、ミュジドラSを勝つソーミーダー(So Mi Dar)にクビ差まで迫った。(However, High-Rise, in 1998, was the last to contest that race en route to Epsom glory.)

アイダホ(Idaho)

調教師: アイダン・オブライエン 騎手: シェイミー・ヘファーマン 倍率: 20倍

ベリサックスS(GIII)でハーザンドの2着に入り、アイリッシュダービートライアルS(GIII)ではムーンライト・ショーグンの3着に入賞した。栄光を掴むためにはさらなる飛躍が必要だ。

マサート(Massaat)

調教師: オーウェン・バローズ 騎手: ポール・ハナガン 倍率: 16倍

昨年のデューハーストSで2着だが、今年の2000ギニーではガリレオゴールドの2着に入った。2000ギニーで2着に入った馬からは3頭のダービー馬が誕生している(サーパーシー・ニューアプローチ・オーストラリア)。しかし、マサートはその3頭ほど長距離適性を見せていない。

ムーンライトマジック(Moonlight Magic)

調教師: ジム・ボルジャー 騎手: ケビン・マニング 倍率: 12倍

昨年は2戦2勝だったが、復帰戦ではアイリッシュダービートライアルSでアイダホ・ショーグンの後塵を拝した。厳しい戦いにはなるが、半兄が3200m戦で勝利しており、距離は問題ない。

ポートダグラス(Port Douglas)

調教師: アイダン・オブライエン 騎手: コルム・オドノヒュー 倍率: 18倍

2歳時にGII戦を制し、チェスターヴェース(GIII)ではユーエスアーミーレンジャーと好勝負を繰り広げた。(Is 4lb better off with the winner and surprise he is trading at much bigger price than him.)

レッドウェルドン(Red Verdon)

調教師: エド・ダンロップ 騎手: シルベスター・ドゥ・スーザ 倍率: 20倍

ドンカスターでのハンデ戦の戦いぶりからはダービー馬という素材ではなかったが、前2走で勝利し評価を上げてきた。ただ、もう少し距離は必要か。

ショーグン(Shogun)

調教師; アイダン・オブライエン 騎手: ドナチャ・オブライエン 倍率: 50倍

アイリッシュダービートライアルSで2着になった後、復帰戦のクレイヴンSでは3着だった。アイリッシュ2000ギニーでは健闘したが、強敵が揃った印象だ。

ユリシーズ(Ulysses)

調教師: マイケル・スタウト 騎手: アンドレア・アッゼニ 倍率: 7倍

ガリレオ産駒3頭目のダービー馬を目指し、そして3組目の母子オークス・ダービー制覇を目指す。この3戦で成長し続けており、前走の未勝利戦では8馬身差の楽勝だった。これに勝利すれば、スタウト調教師ダービー6勝目となる。

ユーエスアーミーレンジャー(US Army Ranger)

調教師: アイダン・オブライエン 騎手: ライアン・ムーア 倍率: 5倍

戦後、2歳戦に出走せずにダービー馬になった馬は5頭いる。この馬はデビュー戦を勝利した後、チェスターヴェースでポートダグラスを制した。勝ちきるのにはもう少し力がいるのかもしれないが、成長の余地は大いにあるはずだ。

ウィングスオブデザイア(Wings Of Desire)

調教師: ジョン・ゴスデン 騎手: フランキー・デットーリ 倍率: 4.5倍

ユーエスアーミーレンジャーと同様、2歳戦には出走しなかった。2戦目で未勝利戦を勝利すると、ダンテ賞で優れたスピードを示した。過去30年、ダンテ賞勝ち馬のうち9頭がダービー馬になっている。


今年のエプソムダービーは、抜けた馬がいない混戦になっているようです。

ウイングスオブデザイアが一番人気ですが、特筆すべき実績があるわけではありません。騎手の腕が物を言うレースになりそうです。

凱旋門賞に向けて見ておきたいレースです。エプソムダービーは日本時間の本日24時過ぎに発走です。

ディープインパクトは世界を征服するのか

引用元

bloodstock.racingpost.com


世界がサンデーサイレンスの力を思い知った時には、その伝説の馬は、日本で種牡馬としてのキャリアの絶頂にいた。

サンデーサイレンスは日本で13年連続のリーディングサイアーに輝き、ディープインパクトハーツクライステイゴールドゼンノロブロイなどの数多くのGIホースを輩出している。その凄まじさは日本の競馬の様相を一変させたが、ヨーロッパに通用する馬を出すことはなかなかできなかった。

1990年代後半には、フランスのマイルGIを勝ったタイキシャトルシーキングザパール凱旋門賞2着のエルコンドルパサーなどが活躍し、日本馬が世界に通用することを証明したが、サンデーサイレンスは2005年に1000ギニー2着のサンドロップ(Sundrop)、重賞勝ち馬のサイレントオナー(Silent Honor)・レイマン(Layman)などを出す程度だった。

息子たちの活躍により、2002年の死後もサンデーサイレンスのサイアーラインは安泰だ。しかし、どの後継種牡馬も、ディープインパクト以上の成功を収めてはいない。サンデーサイレンスの最後から2番目の世代のその馬は、14歳の若さにして既に4回リーディングサイアーに輝いている。

日本の競馬界を代表するディープインパクトは、14戦して2戦しか敗北していない。2007年に引退した後、彼は社台スタリオンステーションで、父と同じように成功を掴んだ。

彼の後継が出現するまで、長くはかからなかった。初年度産駒から日本1000ギニー(桜花賞)を勝ったマルセリーナ安田記念を勝ったリアルインパクトを輩出した(リアルインパクトは後にオーストラリアでジョージライダーSを制している)。

そこから、彼は23頭のGI勝ち馬を輩出した。桜花賞ではジェンティルドンナアユサンハープスター東京優駿(日本ダービー)ではディープブリランテキズナマカヒキオークスではジェンティルドンナミッキークイーンシンハライト。その中でもジェンティルドンナは最も偉大な成績を残した馬で、2014年のドバイシーマクラシックジャパンカップ連覇を含むGI7勝を挙げている。

さらに、GIの1・2着独占も何度も達成している。桜花賞では2012年のジェンティルドンナヴィルシーナ、2013年のアユサンレッドオーヴァルジャパンカップでは2013年のジェンティルドンナデニムアンドルビー、2015年のショウナンパンドララストインパクトオークスでは2012年のジェンティルドンナヴィルシーナマイルチャンピオンシップでは2014年のダノンシャークとフィエロ、天皇賞(秋)では2014年のジェンティルドンナスピルバーグ。他多数。 (註: ご存知の方も多いと思いますが、2012年秋華賞ジェンティルドンナヴィルシーナで決着しており、牝馬三冠レースが全て同一馬同士での決着になっています)

しかし、今年はさらに上をいった。先週日曜日の日本ダービーマカヒキサトノダイヤモンドディーマジェスティの3頭のディープインパクト産駒が上位を独占した。特筆すべきことは、これは今年二度目だということだ(皐月賞ディーマジェスティマカヒキサトノダイヤモンド)。

しかしながら、こうしたことはヨーロッパでは驚くべきことではない。ガリレオ(Galileo)の娘のマインディング(Minding)・バリードイル(BallyDoyle)・アリススプリングス(Alice Springs)の3頭が、昨年のモイグレアスタッドSの上位を占め、翌年の1000ギニーでも同じことが再現された。デインヒルダンサー(Danehill Dancer)も上位三頭独占を2009年に達成している。

マカヒキは2016年世代のディープインパクト産駒の3番目のクラシック勝ち馬だ。興味深いことに、シンハライトマカヒキは、ヘイロー(Halo)のインブリードを持っている。ディーマジェスティも、ヘイローの父であるヘイルトゥリーズン(Hail To Reason)のインブリードを持っている。

マカヒキディープインパクトの馬主だった金子真人氏によって生産された。彼の姉はGIII勝ちのあるウリウリだ。マカヒキとウリウリの母はウィキウィキといい、その母はアルゼンチンのGIホースのリアルナンバー(Real Number)だ。マカヒキの配合は、ジャパンカップホースのショウナンパンドラと同じく、父ディープインパクト-母父フレンチデピュティの組み合わせだ。

さらに、日本ダービーと同じ週に、イスパーン賞エイシンヒカリが圧勝を飾り、ディープインパクトの栄光にさらに花を添えた。エイシンヒカリの配合は、近年成功を収めている父ディープインパクト-母父ストームキャット(Storm Cat)の組み合わせだ。同じ配合を持つ馬に、アユサンビューティーパーラー(Beauty Parlour)・キズナラキシスリアルスティールなどがいる。

ディープインパクトサンデーサイレンスを超えた分野のひとつが、海外での成績だ。彼が2006年に凱旋門賞に出走した時から、多くのヨーロッパの生産者が彼の成功を確信していた。

彼の初年度産駒がヨーロッパに輸出され、そこで多くの成功を収めた。GIII勝ちのあるアクアマリン(Aquamarine)、準重賞勝ちのバロッチ(Barocci)などがそれだ。

しかし、ヨーロッパ人を本当に驚かせたのは2012年で、ビューティーパーラープール・デッセ・デ・プーランを勝った時だ。

当然、そのような結果からヨーロッパからディープインパクトへの注目が集まった。デビッド・レッドバース氏は2014年のセリで、ディープインパクト産駒を2億4000万で競り落としている。その他の有力馬主も、ディープインパクト産駒を買い求めている状況だ。

ディープインパクトは、日本で旋風を巻き起こすだけでなく、世界中にその名を轟かせようとしている。そして既に、彼のサイアーラインは線を描き始めている。ディープインパクトの息子のトーセンホマレボシ、その産駒のハリアーが門別で勝利を収めた。


ディープインパクト産駒が日本で活躍していることはもちろん知っていましたが、恥ずかしながら、海外でクラシック勝利を収めていることは知りませんでした。あんまりディープインパクト好きじゃないんですけど、素直に凄いと思います。

ディープインパクトが一番強いレースをしたのが動画として貼った天皇賞(春)だと思います。超ロングスパートを決めながら上り33.5でまとめるなんてマトモじゃない。

しかし、ディープの長距離適性を受け継いだ馬がまだ出てきていないんですよね。いつか父のように、淀の舞台で圧勝するような馬が出てきてくれればと思います。

エイシンヒカリ、世界ランキングトップに(レーシングポスト独自ランキング)

引用元

www.racingpost.com


10馬身という歴史的大差をつけてイスパーン賞を制したエイシンヒカリは、今やヨーロッパを制圧できるだけの力を持っている。

実際には、つけた着差は公式の速報値よりは大きくなかっただろう。しかし、その芦毛馬は衝撃的な強さを見せつけたのには違いない。

非公式ではあるがより正確な測定を行うと、イスパーン賞の着差は8馬身になる。エイシンヒカリのRPR(註: レーシングポスト独自のレーティング)は131だ。これは2006年に彼の父・ディープインパクトが記録した133以来の高い値だ。

131というレーティングは、過去3年のうち2年でランキングトップを取れるものであり、今年の世界最強馬になるにあたっては有力候補だ。

エイシンヒカリレーティングは、ドバイワールドカップ勝者である2位のカリフォルニアクローム(California Chrome)に4ポンド差をつけている。オーストラリアのスターホース・ウィンクス(Winx)は126で3位。

1600〜1800m路線ではヨーロッパでは特に強い馬は見当たらなかったが、エイシンヒカリがシャンティに登場してからは状況が一変した。

特に、ソロウ(Solow)がクイーンアンSを回避してしまい、マイル路線には目立った馬がいない状況だ。

1800m路線ではファッシネイティングロック(Fascinating Rock)、ポストポンド(Postponed)、そしてタイムテスト(Time Test)などがいるが、エイシンヒカリを上回る存在感は持っていない。

ヨーロッパ王道路線の次なる戦いは、ロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズSだ。他の出走馬と比べ、エイシンヒカリのRPRは6ポンド(約3馬身)の開きがある(ファッシネイティングロックポストポンドのRPRが125)。勝機は十分だ。

(If he hadn't run in France there might have been a couple of question marks over how the relentless grey would handle a trip to Ascot, but last week he proved his versatility.)

日本と香港では逃げ戦法で勝利を獲得してきた。しかし、前走では窮屈な形からパフォーマンスを発揮してきた。

イスパーン賞で、エイシンヒカリは海外遠征に耐えられること、二番手で追従できること、凄まじいスパートができること、どんな馬場でも対応できることを証明し、ベッドがエイシンヒカリに集められている。

アジアの軽い馬場とヨーロッパの思い馬場で勝利し、世界中のどんな馬場でも勝つことができることを証明した。

距離不安のため、凱旋門賞への出走は表明されていない。しかし、オーストラリアのコックスプレートやアメリカのブリーダーズカップマイルなどの出走の可能性はありそうだ。

もしヨーロッパに滞在するならば、多くの選択肢があるだろう。サセックスS(6/27)、インターナショナルS(8/17)、愛チャンピオンS(9/10)、クイーンエリザベス2世SやチャンピオンS(共に10/15)など。

(Although jaw-dropping on the face of it, his latest win was not quite as impressive as first glance suggests - and it was not only the "ten-length" winning margin that flattered the Japanese star.)

しかし、派手な勝ちっぷりではあったが、彼の強さを見た目通りにとってしまうのは疑いが残る。

ペースが上がったこと、馬場が重かったこと、好位を取れたことが、2着のダリヤン(Dariyan)に大きな着差をつけたことに作用したことは間違いない。

とは言っても、どれだけ不安要素を並べてみても、GIレースで圧倒的パフォーマンスを見せたエイシンヒカリが、現時点での世界最強であるだろう。

ヨーロッパに大目標を持っている、もう一頭のディープインパクト産駒がマカヒキだ。彼はこの日曜日に東京優駿(日本ダービー)に勝利した。

日本のクラシック最高峰を勝利したことにより、その3歳馬は凱旋門賞のオッズで人気を占めるようになっている。

東京優駿によくあることだが、そのレースでは10着までが5馬身差に収まっていた。このレースでのマカヒキのRPRは122であり、彼自身の最高記録よりは低くなった(註: 最高値は弥生賞勝利時の123)。

位置取りは決して有利ではなかったし、最後の1ハロンまでは前が開かなかった。そこから鋭く抜け出し、サトノダイヤモンド(RPR: 121)にハナ差で勝利したのだった。

日本の3歳馬の中で最強の2400mランナーとなったマカヒキは、凱旋門賞に出走するプランがある。そこでも、パフォーマンスを上げる余地はあるだろう。


エイシンヒカリレーティングと今後の展望、ついでにマカヒキという感じの記事です。

記事中では「10馬身差を額面通り受け取るのは危険ではないか」という指摘がありますが、私もほぼ同意見です。

イスパーン賞はハイペースな上に馬場が悪く、各馬のスタミナが削られる展開でした。スローペースからの直線勝負に比べ、そのような展開では着差が広がる傾向にあります。

逆に日本ダービーは直線勝負になったため、着差がつきにくいんですよね。着差だけで全てを見てしまうのは、その馬の強さを見誤ってしまう可能性があります。

エイシンヒカリの真価は、次走で明らかになると思います。そこでまた圧勝劇を演じるようであれば、世界最強馬の座は揺るぎないものになるでしょう。