ディープインパクトは世界を征服するのか
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世界がサンデーサイレンスの力を思い知った時には、その伝説の馬は、日本で種牡馬としてのキャリアの絶頂にいた。
サンデーサイレンスは日本で13年連続のリーディングサイアーに輝き、ディープインパクト、ハーツクライ、ステイゴールド、ゼンノロブロイなどの数多くのGIホースを輩出している。その凄まじさは日本の競馬の様相を一変させたが、ヨーロッパに通用する馬を出すことはなかなかできなかった。
1990年代後半には、フランスのマイルGIを勝ったタイキシャトル・シーキングザパール、凱旋門賞2着のエルコンドルパサーなどが活躍し、日本馬が世界に通用することを証明したが、サンデーサイレンスは2005年に1000ギニー2着のサンドロップ(Sundrop)、重賞勝ち馬のサイレントオナー(Silent Honor)・レイマン(Layman)などを出す程度だった。
息子たちの活躍により、2002年の死後もサンデーサイレンスのサイアーラインは安泰だ。しかし、どの後継種牡馬も、ディープインパクト以上の成功を収めてはいない。サンデーサイレンスの最後から2番目の世代のその馬は、14歳の若さにして既に4回リーディングサイアーに輝いている。
日本の競馬界を代表するディープインパクトは、14戦して2戦しか敗北していない。2007年に引退した後、彼は社台スタリオンステーションで、父と同じように成功を掴んだ。
彼の後継が出現するまで、長くはかからなかった。初年度産駒から日本1000ギニー(桜花賞)を勝ったマルセリーナ、安田記念を勝ったリアルインパクトを輩出した(リアルインパクトは後にオーストラリアでジョージライダーSを制している)。
そこから、彼は23頭のGI勝ち馬を輩出した。桜花賞ではジェンティルドンナ・アユサン・ハープスター、東京優駿(日本ダービー)ではディープブリランテ・キズナ・マカヒキ、オークスではジェンティルドンナ・ミッキークイーン・シンハライト。その中でもジェンティルドンナは最も偉大な成績を残した馬で、2014年のドバイシーマクラシックやジャパンカップ連覇を含むGI7勝を挙げている。
さらに、GIの1・2着独占も何度も達成している。桜花賞では2012年のジェンティルドンナとヴィルシーナ、2013年のアユサンとレッドオーヴァル。ジャパンカップでは2013年のジェンティルドンナとデニムアンドルビー、2015年のショウナンパンドラとラストインパクト。オークスでは2012年のジェンティルドンナとヴィルシーナ。マイルチャンピオンシップでは2014年のダノンシャークとフィエロ、天皇賞(秋)では2014年のジェンティルドンナとスピルバーグ。他多数。 (註: ご存知の方も多いと思いますが、2012年秋華賞もジェンティルドンナとヴィルシーナで決着しており、牝馬三冠レースが全て同一馬同士での決着になっています)
しかし、今年はさらに上をいった。先週日曜日の日本ダービーはマカヒキ・サトノダイヤモンド・ディーマジェスティの3頭のディープインパクト産駒が上位を独占した。特筆すべきことは、これは今年二度目だということだ(皐月賞がディーマジェスティ・マカヒキ・サトノダイヤモンド)。
しかしながら、こうしたことはヨーロッパでは驚くべきことではない。ガリレオ(Galileo)の娘のマインディング(Minding)・バリードイル(BallyDoyle)・アリススプリングス(Alice Springs)の3頭が、昨年のモイグレアスタッドSの上位を占め、翌年の1000ギニーでも同じことが再現された。デインヒルダンサー(Danehill Dancer)も上位三頭独占を2009年に達成している。
マカヒキは2016年世代のディープインパクト産駒の3番目のクラシック勝ち馬だ。興味深いことに、シンハライトとマカヒキは、ヘイロー(Halo)のインブリードを持っている。ディーマジェスティも、ヘイローの父であるヘイルトゥリーズン(Hail To Reason)のインブリードを持っている。
マカヒキはディープインパクトの馬主だった金子真人氏によって生産された。彼の姉はGIII勝ちのあるウリウリだ。マカヒキとウリウリの母はウィキウィキといい、その母はアルゼンチンのGIホースのリアルナンバー(Real Number)だ。マカヒキの配合は、ジャパンカップホースのショウナンパンドラと同じく、父ディープインパクト-母父フレンチデピュティの組み合わせだ。
さらに、日本ダービーと同じ週に、イスパーン賞でエイシンヒカリが圧勝を飾り、ディープインパクトの栄光にさらに花を添えた。エイシンヒカリの配合は、近年成功を収めている父ディープインパクト-母父ストームキャット(Storm Cat)の組み合わせだ。同じ配合を持つ馬に、アユサン・ビューティーパーラー(Beauty Parlour)・キズナ・ラキシス・リアルスティールなどがいる。
ディープインパクトがサンデーサイレンスを超えた分野のひとつが、海外での成績だ。彼が2006年に凱旋門賞に出走した時から、多くのヨーロッパの生産者が彼の成功を確信していた。
彼の初年度産駒がヨーロッパに輸出され、そこで多くの成功を収めた。GIII勝ちのあるアクアマリン(Aquamarine)、準重賞勝ちのバロッチ(Barocci)などがそれだ。
しかし、ヨーロッパ人を本当に驚かせたのは2012年で、ビューティーパーラーがプール・デッセ・デ・プーランを勝った時だ。
当然、そのような結果からヨーロッパからディープインパクトへの注目が集まった。デビッド・レッドバース氏は2014年のセリで、ディープインパクト産駒を2億4000万で競り落としている。その他の有力馬主も、ディープインパクト産駒を買い求めている状況だ。
ディープインパクトは、日本で旋風を巻き起こすだけでなく、世界中にその名を轟かせようとしている。そして既に、彼のサイアーラインは線を描き始めている。ディープインパクトの息子のトーセンホマレボシ、その産駒のハリアーが門別で勝利を収めた。
ディープインパクト産駒が日本で活躍していることはもちろん知っていましたが、恥ずかしながら、海外でクラシック勝利を収めていることは知りませんでした。あんまりディープインパクト好きじゃないんですけど、素直に凄いと思います。
ディープインパクトが一番強いレースをしたのが動画として貼った天皇賞(春)だと思います。超ロングスパートを決めながら上り33.5でまとめるなんてマトモじゃない。
しかし、ディープの長距離適性を受け継いだ馬がまだ出てきていないんですよね。いつか父のように、淀の舞台で圧勝するような馬が出てきてくれればと思います。